2020年3月25日水曜日

蜜のような時間を、味わう


くる日も、くる日も、家にこもっています。

春ですし、
お天気がよいですし、
仕事に行かなくてもいいですし、
外を歩いていても、空からおそわれることもないですし、
お料理を、ゆっくりできますし、
あたふたしなくてすみますし、
自由勝手に、本を読んだり、
テレビを見たりできますし、
職人さんや、アーチストにとっては、
こんなに、静かな、いい時間は、
ないと思います。

ウイルスの件さえなければ、
こんなに、いい時間は、ないです。


もっとも、
楽しみにしていた、今週末の
ヒップホップのパーティは、おじゃんになりました。
毎週通っている、
ヒップホップのクラスにも、
行けません。
今年から、ハウス専門のクラスに行っているのです。
ヒップホップのジャンルのひとつです。
これが、また、おもしろいのなんの。

それがなくなって、
ツマラナイ!

こういう「家こもり状態」になってからは、家で、
ひとりで、トレーニングをしています。
でも、
30分もすれば、あきてしまいます。
お仲間と一緒に、トレーニングをする予定も
立てていたのに。

今なら、たっぷり時間があるから、
トレーニングにも行けるはずです。
ふだんは、
仕事があるから、
なかなか行けないバーに、
一緒に踊りに行こうよ、と声かけたくなります。

ねぇ、
残念だねぇ、
この時間、もったいないねぇ、と
「文字で」話し合いました。

そんな中にも、
ひとつ、
すばらしいことが、あります。

外出許可は、どんどんきびしくなっています。
ですから、
毎日、ドキドキしながら、
「散歩」が禁止になっていないだろうか、
政府のサイトを調べます。

あぁ、大丈夫。
一日、
一回、
一時間だけ、家から
一キローメートルの、はんいで、
体を動かすことをする、のは、
許されています。

私は、許可証を手書きで書いて、
胸ポケットに入れて、
外に出ます。

最初は、歩いていますが、
だんだん、小走りになってしまいます。
理由は、
flâner(ぶらぶら歩く)というのは、
禁止されているのです。
ですから、
なんとなく、小走りになってしまう。

小走りといっても、
速さは、歩いているのと、大してかわりません。
もしかすると、
歩いているのよりか、おそいかもしれません。
「ぶらぶら」走っています。
ぶらぶら歩くのはいけないけれど、
ぶらぶら走るのは、いいのか、

きかれても、答えはよくわかりません。


ロワール川沿いにおりるのは、禁止されましたから、
めずらしく、
橋の上を、行きました。
ほとんど人がいません。

お日さまが、さんさんと照っています。
風は、冷たいけれど、
日ざしが、おいしい。
遠くで、カーン、と教会の鐘が聞こえます。
川のザーザーいう音も、きこえます。

気持ちがいいです。
目から、
耳から、
肌から、
動かす体ぜんぶから、
蜜を味わっているような感じです。

ぶらぶら走りながら、
ほとんど、進まない走り方で、
私は、
(おいしい、おいしい)と心の中で、
ひとりごとを言いながら、
橋を、二周、横断しました。

家の近くで、
こんなにさわやかで、
すばらしい時間がすごせるなんて、
と、めずらしく思いながら、
家に、もどりました。

きょうも、読んでくださってどうもありがとうございました。


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