2020年3月12日木曜日

フランスのおさかな(オンブルシュバリエ)


ウイルスのせいで、
あまり、街中をぶらぶらするのは、やめることにしています。
たまに行くレストランにも、
このごろは、行っていません。

なんとなく、退屈なので、
何をするかというと、
考えるのは、おもに食べ物のことです。
おいしいものはないか、と
いつも、考えています。

朝ご飯は、このごろパンはあきてきたから、
日本食にしよう、と思いつきました。
さて。

おみそしる、
ごはん、
うめぼし、
納豆、
つけもの、
ゆでたまご、

そして、
何か、お肉か、さかな、を。

まずは、塩鮭がいいと、思いました。
もちろん、ここフランスでは、
そういうものは売られていません。
ネットで調べてみると、海外に住む方が、いいレシピを
のせてくださっています。
塩さえあれば、それ風のものを、家庭でも作れそうです。
さっそく、市場の魚屋へ行きました。

いつもの、養殖のサケを買おうと思って、
店の前で、順番を待ちます。
すると、私の前の女性が、
オンブルという魚を買うか、買わないか迷っています。
身はピンクとオレンジの中間、
3枚におろして、売られています。
初めて出会った、魚です。

ずいぶんおいしい魚だけれど、
う〜ん、どうしようか、買わないつもりだったけど、
やっぱり、おいしいから、買う!と
衝動買いのような買い方をなさっています。
それで、
私も、興味をもったので、

「いったい、どんな味がするんですか?
マスみたいな感じですか」

と、たずねてみれば。
その答えに、ちょっと、たじろいでしまいます。


「いえいえ、マスなんかより、ずっとおいしいです。
脂は、のってないし、
味も、もっと弱めだし」

ええぇ?!
脂がのってるから、おいしい、というのが、
ふつうなのに。
それに、
味が弱め?
風味はないんですか?
なんのために、お魚食べるんですか、
と言いたくなります。
やっぱり、ここは、お肉の地方なのかしら、と
場違いな気持ちがします。

ちょっとむこうからは、
サバのおろしたのを買おうとして、
「骨、あるんですか」と、まるで子どものようなことを、
尋ねているのが、聞こえてきます。
「だいじょうぶ、少ししかありませんよ」
この地方では、
骨のある魚は、ほんとに人気がないようです。

味がおいしくなかった、という文句はきいたことありませんが、
こないだの切り身には、骨があった、という文句は、
けっこうよく、聞きます。

それに、
売れ残りのサバを、3枚におろしたのなんて買わないで、
それより、あっちの方にある、入荷したての、
まるごとのサバを買った方が、
生きが良くて、おいしそうですよ、と言いたくなります。
でも、
これまで、見ていて、
サバを丸ごと買う人は、いません。
私しか、いません。
みなさん、3枚におろしてもらっています。

こういうとき、あぁ、私は外国にいるんだな、と
思い出します。


塩鮭用のサケと、
それから、その脂がのっていなくて
味が弱くておいしい、という不思議な魚を、
買って帰りました。
オンブルシュバリエという、立派な名前です。

味が弱いのは困った、と思いましたので、
ちょっと塩とお砂糖をふって、
しばらく、冷蔵庫に入れときました。
夕ご飯に、グリルで焼きましたところ、
たしかに、品のいい、
すっきりとした、舌触りのよいお魚でした。
スイスの湖などでとれるそうです。

脂は、たしかにのっていませんが、
バサバサして困ることもありませんでした。
こちらの人は、
おいしいソースを作るのでしょう。
私は、おしょうゆを、さっとかけて、
いただきました。
とっても、おいしかったです。

きょうも読んでくださって、
どうもありがとうございました。



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