貨物船で、出会った、船乗りのはなしです。
機関長さんのことを、書きます。
この方は、いつも、船の底の方にある、機械室で、仕事をしています。
とても背が高く、大きく、やさしそうな顔をしています。
私は、機械室を、見せてもらいたく思っていました。
理由は、祖父が、同じく、機関長だったからです。残念なことに、戦争中、海で亡くなりました。私は、会ったことがありません。
機械室に行ってみて、おじいちゃんの仕事場を、想像してみたかったのです。
船乗りさんたち、港の出入りで、忙しく、ストレスも多いのに、申し訳けないかな、と思いつつ、お願いしてみましたところ。
お疲れのところ、
エンジンは、大きく、ピカピカにみがかれていて、美しいといえば、美しい。大聖堂のよう。
中に入るのに、みなさん、土足からうわばきに、はきかえています。どこもかしこも、きれいにそうじが行き届いていて、ほこりも、油の一滴も、ありません。
ただ、機関長さんと話をしてみると。
大きくて、がっしりとした機関長さん。
「来世には、船乗りになりたいです」という私に、
ものすごい勢いで、
「お勧めしませんよ!」と、おっしゃる。
来世、って言ってるのに。
機関長さんの、心からの悲鳴が、聞こえてしまったようでした。
「もう、25年間この仕事をしてきたけど。もうたくさん!人生から、切り離されちゃっている。3ヶ月海に出て、3ヶ月陸に上がる。人生が、3ヶ月ごとの切り身みたいに、なっちゃってる!」
と言うのです。
もう、陸に上がる、と決めたそうです。
「若いころはね、野心があって、高いところを目指して、いろいろがんばるものなんだよ。でも、もう、たくさん。もっと、イージーな生活にしたい」と。
案内係りの、下士官の方に、
「機関長さんっていうのは、海を見る機会はないのですか?」と聞いてみると、
ないそうです。だから、肌も、日焼けしないで、真っ白だそうです。給油のある時は、何日も、徹夜で、見張りをする。なんとも、とてもハードな仕事そう。
やさしい、といえば、チーフメイトという、士官の方も。
この船の、「お母さん」にあたるような人、に見えました。
下士官が、おくれて朝食をとっていると、
「あ〜らま、今の若いもんは!」なんて言って、優しくさとしています。でも、その下士官が、何も言わずに、ニコニコ、食べ続けているのを見ると、チーフがどんなに、優しい人だか、想像できてしまうようです。
私が、夕食のデザートを、みながいなくなっても、ゆっくりいただいていたら、
「甘すぎますか?」と心配してくれたのも、このチーフメイトです。このお菓子はね、トルコのでね、と説明してくださいました。
ある会話の中で、「あぁ、私のワイフも、同じようなこと、言ってましたよ」とおっしゃる。ふーん、こんなに女性的な優しさを持っていらっしゃる方も、ワイフをもってらっしゃるのか。びっくり。すると、その女性は、どんな方なのだろう、と、妙なことに、感心してしまいました。
きょうは、やさしい船乗りたちの、話でした。きょうも、読んでくださって、どうもありがとうございました。
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2 件のコメント:
ジャスミンティーさんから、うれしいツイートをいただきました。
*****
これがエンジンですか!
ホント、ピカピカで金管楽器のようですね。意外でした。
ふだん生活さんのお爺様、機関長さんだったのですね〜。
それにしても海の一番底に来る日も来る日いて、海にいながら海を見れない。。なんてせつないんでしょう。。
まさに縁の下の力持ちですね。
コンテナも積み木のインテリアのように、海に映えて素敵!
それに何と言っても、ふだん生活さんが拝見できちゃって嬉しいです。(^o^)
思ってた通りのお優しい感じの方ですね。
顔も何故か、思ってた通りに小さい!
*****
お声をかけてくださって、どうもありがとうございました。
ジャスミンティーさん、こんにちは。
エンジンは、まさに、そのとおり、
「金管楽器」のようでした!
機関長さんの仕事は、、、
そうですね、70年前と、今とは、ちがうのかもしれませんが、
あまり海が見られない、というのは、
なんとなく、かわいそうだと、思ってしまいます。
はい、これは筆者の写真です。
忙しい中、機関長さんが、
見学のときの写真を、とってくださいましたので、
すてきな思い出です。
私の本心は、
船乗りさんたちの写真を、載せたいのです。
すてきなキャプテンと、の、写真もあるのです。
でも、
ただでも、打ち明け話を、こうしてブログに書いてしまって、
申し訳ないと思いますので、
船乗りさんたちの写真は、やめにします。
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