2016年7月24日日曜日

人生設計を、間違えたかもしれない(コンテナ船クルーズ)



貨物船の旅をおえて、
もう、しばらく日がたちました。

でも、なかなか、
その強い印象から、ぬけだせません。
海、空、星、船乗りたち。
こんなに、美しいものが、世の中にあるなんて!

船乗りになればよかった、
人生設計をまちがえた、と、
なかば、本気で、思っています。

上の写真は、貨物船に乗るため、
やっとの思いで、
ドイツの、慣れない港の、
コンテナターミナルに、着いた時のものです。
うれしかったこと。

タクシーは、ここまで入れません。

コンテナゲートで、手続きをすると、
シャトルバスに、乗せてもらいます。
なにしろ、コンテナ船は、とてつもなく大きいのです。
どこが、船の、入り口だか、
バスの運転手さんも、地図を見て、さがしていました。

さて、
この、のぼりはしご。
ギャングウエィ、といいます。

トランクのサービスは、ないのです。
一人で荷物をもつことになって、
このはしごを登れなかったらどうしよう、と心配していました。
ですので、なるべく、トランクは、軽くしました。

でも、
雨の中、私が着いたら、
士官の人が、
上に向かって、大きな声で、なにか言ってから、
荷物を、もってくれました。
あぁ、よかった。

はしごには、あみの保護がなされています。
足の下をみると、
あみの、むこうに、黒い海の水が、
ぴちゃぴちゃと、動いているのが見えます。
あぁ、落ちたら、アウトだな、と思います。


そして、大きなしきいをまたいで、
船の中にはいると、こんな、風景です。
白くてきれいな、がんじょうなドアがたくさん。
そして、ペンキや、重油のにおい。
これを、見ただけで、
「ああ、来てよかった!」と思ってしまいました。

そんなふうに感じる方は、
たぶん、なかなかいらっしゃらないでしょう。
でも、私は、そう感じるのです。
だから、やっぱり、
私は、人生設計を、まちがえたように、思えてしまうのです。
船乗りになれば、よかった、と。

中央の白い建物に、人間が生活しています。


長い船の、まんなかあたりに、
9階建ての、うすっぺらい建物があります。
その、7階が、私のキャビンのあるところです。

私にあてがわれたキャビンは、
3つも窓があって、ステキでした。
そのほか、この建物の中には、
娯楽室、図書室、ジム、洗濯室があります。
どこでも、好きなところを、まわっていいですよ、と
言われました。

(でも、テレビ、インターネット、電話は、つながりません)

舵取り部屋(操縦室?)にも、行きました。
そこは、建物の、最上階です。
そのわきにある、デッキ(甲板)は、
私の一番好きなところです。

何しろ、ながめがいいのです!
それに、風にあたっているのは、気持ちがいい。
操縦室から、見ているのとは、ちょっとちがいます。
海や空と、一緒になっている、という感じが、するのです。

デッキにいて、風にふかれて、
フードにくるまっていると、
何度か、オフィサーの方々が、
「中に、おはいりなさい」と、言ってくださいました。

操縦室は、神経をつかう、仕事の場所です。
ですので、
私は、ちょっぴり、遠慮しているのです。
そこに、いらっしゃい、とオフィサーが招いてくださるのです。

だから、とてもありがたいことなのです。
でも、
やっぱり、
風にあたって、海をながめるのは、楽しすぎます。

風が強すぎて、あぶないから、
という時もありましたが、
そうでなければ、
私は、たいていデッキに、いました。

海も、空も、
どれだけながめても、あきないです。

たき火や、ろうそくの火が、おどるのを見ていると、
あきないで、長いことながめてしまいます。
まるで、催眠にかかったようです。
それと、似ています。
(そうなるのは、私だけでしょうか?)



3度の食事は、オフィサー(士官)の方々と、一緒でした。
といっても、
士官の方々は、仕事が忙しくて、
15分くらいで、食べ終えて、あとは、煙草を吸いに、
どこかへ、行ってしまいます。

食事は、とてもおいしかったです。
フィリッピンのコックさんが、
毎日、毎日、ちがうメニューを考えて、
心をこめて、作ってくださいました。

スープ、お肉数種類、付け合わせ、サラダ、チーズ、デザート、フルーツ。

野菜と、お豆、フルーツの種類の多さに、びっくり。
それにひきかえ、
うちのごはんは、なんて貧弱!と、反省してしまいました。

(バランスのとれた、すばらしい食事のおかげで、
私は、ちょっぴりスマートになって、帰ってきました)

チーズケーキから、
バックラバーという、トルコのお菓子、
手焼きのパンまで、
みな、ホームメードです。

このコックさんは、
私がよく、お茶を飲んでいるのを見て、
お茶の友に、ビスケットを、お持ちしましょう、
と、言ってくださいました。
そのあと、
クルーが、こっそり、
フルーツがたっぷり入った、かごと、
ビスケットの詰め合わせを、キャビンに届けてくれました。

まぁ、うれしい!
こんなふうに、
ちやほやされて、実にうれしかったです!
ふだんの生活で、
こういうことは、めったに、おこりません。



士官の食堂は、オフィサーズ-メスルームとよばれます。
そのメスルームには、カレンダーがぶらさがっていて、
今日が、何日なのか、
赤いわくで、示されるようになっています。
それを見ると、
ちょっぴり、囚人が、壁に、日にちの印をつけるのを、
思いうかべてしまいます。

オフィサーも、
下働きのクルーも、
みな、
家族とはなれて、数ヶ月間もの仕事をしているのです。

私の世話をしてくださった、スチュワードさんは、
ゆかいで、楽しい人でした。
でも、すぐ、会話が、家族のことになってしまう。
もう、7ヶ月も家族と会っていない、と。

出会った、船乗りたちのことは、
また、書きます。

さて、画像はいまいちですが、
夕食後、キャビンからとったものを、アップしてみます。
あほうどりが、数羽ほど、
こうして、
船といっしょに、いつまでも飛ぶさまが、
何とも、けなげで、静かで、ふしぎだったのです。

いずれ、夜になるのですが、
陸に帰るわけでもなく、
いったい、どこに行くのでしょうか。


 


では、きょうは、このへんで。

読んでくださって、どうもありがとうございました。
↓ クリック応援していただけたら、うれしいです。
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

2 件のコメント:

Chiyo さんのコメント...

ジャスミンティーさんから、うれしい、コメントをいただきました。

*****

@yTNg56 帰国されるのを待っておりました。お帰りなさ〜い!

出航からワクワクしながら読ませていただきました。
コンテナ船って凄く大きいのですね〜。

そのスペースをたった30人程?で動き回れるなんて。
豪華客船よりも贅沢ですよね、ある意味。
デッキも一人占めでじっくり自然との対話が出来ますね。
何かこれぞ旅の原点、という感じを受けました。

お部屋もトリコロールカラーでとっても素敵だしお料理も美味しそう。
何もかもが羨ましい限りです。

こんな素敵な体験をしちゃったら「ふだん生活」さん、日常に戻るまで少し時間かかりますよ。
いつまでも旅の雰囲気にたゆたっていたい感じなのでは。
あ〜、私もこんな夢のような旅をしてみたい。

けど、船酔い以前に乗り物酔いするもので。。
乗り物酔いしない人に産まれてきたかった。

またお話し聞かせて下さい。
私の亡くなった叔父も船乗りで口数は少なかったですが、外見がそれっぽかった。

*****

こんなふうに、シェアしていただいて、旅の思い出も、2倍たのしくなりました。
ありがとうございました。

Chiyo さんのコメント...

ジャスミンティーさん、こんにちは。

ツイートで、お声かけていただいて、どうもありがとうございました。

ジャスミンティーさんには、いつも、ブログを読んでいただき、
そして、
まるで、チアリーダーのように、応援、シェアしていただき、
うれしいです、とっても。

ところで、
乗り物酔いされる、というのは、ほんとうに残念なことです。

私も、それをおそれていていました。

ハンブルグでは、船が出るのを待ちながら、2日間、湾岸をうろうろしていました。
桟橋は、ゆらゆらゆれていて、
油煙のにおいがするし、
ドイツ料理の、お魚のフライのにおいがしてきたり、で、
少し、気分が悪くなったりもしました。

どうなるかなぁ、と心配だったのですが、
いざ、行ってみたら、
なんとかなりました。
もちろん、油煙のにおいも、「ゆらゆら」も、あるのですが。

もちろん、大揺れの時は、
船乗りでも、酔う、とききました。


叔父さま、船乗りであられましたか?

また、お話、おききしたいです。


ありがとうございました。