2016年12月9日金曜日

タイプライターを知ってる人、知らない人



きのう、「信じられない!」
というような手紙をもらいました。

まず、これは、広告の手紙だと思いました。
クリスマス近くになると、
チャリティーで、寄付してください、という手紙が、
多くなります。

これもまた、貧しい国から来たようにみせかけた、
手紙だと思っていました。

ところが、夫が、
「よく見て、
ドイツから手紙が来てるよ」と言います。

ドイツから、寄付の手紙?
変だなと思いながら、
ちょっとらんぼうに、封を切りはじめましたところ。

おやおや?

どうやら、
本当に、私あての、手紙のようです。

あ、これは、コンテナ船で出会った人です!
この夏、貨物船の旅をした時の、
「旅の友」。
ブレーメンの、おじいさんです。
ちょっとした理由があって、
そのお姉さんが、代筆してくださったのです。

それは、
私の出した、夏の手紙への、お返事でした。
とても、的を得た、きれいな英語で書かれていました。
こんなにおそくなって、ごめんなさい、と。

そして、
それは、タイプライターで、書かれているのです。
今どき、ものすごく、めずらしいです。


よく見ると、
文字が、はんこのように、紙に押されているのが、見えます。
一文字、一文字が、軽く押されて、
やわらかい紙が、谷のようになっているのは、ステキです。
カタカタ、というあの音も、きこえてくるようです。
リズムも。
カタカタ、カタカタ、チーン!

しかし、タイプライターなんて、
使う人が、まだいるのでしょうか。
あの、リボンも、まだ売られているのでしょうか。

そういえば、
私だって、30年くらい前、
はじめてフランスに来る手続きをしていたころは、
タイプライターを、使っていました。

まちがえたら、消すために、白い修正紙を使うのです。
でも、それでは、ちょっと目立つので、
正式の手紙を打つときなどは、
ミスはしないように、と、
緊張して、打っていました。
ちょっとまちがえたら、アウト。
また、やり直しです。

それにくらべたら、
今は、パソコンで、便利になりました。
自由に、カット、修正、できます。



でも、タイプライターの手紙には、
ちょっとした、味わいがあると思います。
そして、私は、
あの、おじいさんのことを、思い出します。

ムダな事には、お金を使わないで、
お金をためて、
コンテナ船の旅をする。
車や、飛行機の速さより、
船の、ゆっくり、エレガントなところが、好きな、
おじいさん。
やはり、タイプライターで、
旅行記をつづっている、ということです。

ちょっと、ガンコ。

私も、そういうところがあるから、
よく、わかります。

体の具合があまりよくなく、
もう、これが、最後の旅、ということでした。

そして、おじいさんは、
インターネットを使えない(使わない?)ために、
知らないことが、たくさんありました。
一緒に乗った貨物船のことも、
私は、ネットから知ったことがたくさんあったのに、
おじいさんは、ぜんぜん知らなかったです。

なんだか、世の中から、取り残されているような気も、しました。
それが、ちょっと、かわいそうな気がしました。

でも、そんなこと、
どうでもいいのかもしれません。

などなど、
そんなことを思いながら、
タイプの文字を、手でさわっています。

そろそろ、おじいさんに、
クリスマスカードを、送ろうと思います。

きょうは、信じられない手紙、の話でした。
読んでくださって、どうもありがとうございました。
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