去年は、疫病のせいで、夏休みにも家ごもりをしていました。
今年はと言えば、
去年よりも、フランスは、良くない状況ですのに、
夏休みで、旅行に行けるようになりました。
行き先は、ちょっと近場になります。
私たちは、
ノルマンディー地方を、選びました。
週末に出かけられるような、近い場所です。
2時間ちょっとあれば、着きます。
もともと、
私が大好きな場所です。
さて、
フランス人に、ノルマンディーと言えば、
「雨」と連想します。
おみやげ屋さんに行けば、
雨の絵が描かれたマグカップや、
傘を、売り物にしています。
実に、雨がよく降る。
ですので、草木はよく育ちます。
景色は青々しています。
この、しっとりした感じが、
日本人の、私の、気に入るのかもしれません。
お天気が悪い、とはいっても、
いざ、こちらへ着いてみると、
けっこう、晴れ間があります。
そういう時に、さっと、浜辺へ出て、
散歩したり、海水浴をしたりします。
気温さえ良ければ、海につかります。
そういう時は、多少雨が降っていてもかまいません。
と、そういう心の勢いで行きます。
結局、いいお天気の日は、たくさんあったり、
雨が降るのは、
私たちが眠っている間の、夜だけだったりします。
それはともかく、
ロワール地方の人は、ほとんどここへ来ません。
それよりも、とかくパリジャンがよく来ます。
小さな町でも、シックなお店がたくさんあったり、
粋なレストランがたくさんあるのは、
パリジャン相手に、しのぎを削っているからかもしれません。
(↑ 商店街では、カモメの子供が2羽、お母さんにご飯をねだっています。
ピーピー、うるさい。でも、何を考えているのか、お母さんは、動きません)
と、
どうしても、私はノルマンディーひいきになります。
あともう一つ、
いいことがあります。
天気が良く変わるせいでか、
ともかく、空が、おもしろい。
雲の形、
光の具合、
それはそれは、ステキです。
海につかって、
空をながめます。
そんな人は、あまりいないようですが、
お日様の前を、雲がさえぎると、
すごい風景が見えたりします。
それは、「後光」がさしたようになります。
昔の日本の旗、
大日本帝国の旗の、日の出のように、
光線が、実によく見えます。
絵に描いたようになります。
雲は、フチが、まっ白の線。
そして、中身は、濃い色になります。
海の中では、カメラを持っていませんから、
いっしょうけんめいそれを暗記して、
あとで、絵に描いてみよう、なんて思いますが、
私には、とうてい、できません。
神がかったような、
ものすごい図です。
一つだけ、困ることがあります。
この地方では、牛がたくさんいて、
乳製品が、ものすごく良くとれます。
したがって、
バターにチーズ、
生クリームをふんだんに使ったお料理が、多いです。
それは、いいのですが、
野菜というものを、知らないのかしら、と思うほど、
野菜の量が足りないです。
ですので、
せっかくここへ来たのだから、
ここの名産を楽しもう、といっても、
しばらくすると、げんなりします。
ですので、
私たちが、エンジョイするのは、
海の幸を、シンプルにいただくやり方です。
きのうは、スズキをおろしてもらいました。
もちろん、「生で食す」と言ったら、
若い魚屋さんは、ぎょっとして、倒れそうになりました。
(きっと、ここの人は、
生クリームで煮るのでしょう)
きょうのお昼には、
伊勢海老を注文してあります。
これは、ゆでてもらいます。
シンプルに、おしょう油、塩、オリーヴ油で、
食します。
また、
お肉屋さんでは、
アンチーユ風、ブーダンノワール(血の腸詰)
というものがありましたので、
それは、アンチーユ独特で、ピリピリ辛いですか?と尋ねますと、
「そうですねぇ、
私にとっては、もっと辛くしてほしい、
っていう感じです。
人によるんですよね」
という答えをもらいました。
ですが、
それでは、何のヒントにもなりません。
夫が、ピリ辛を苦手とするのですが、
私は、平気ですので、とりあえず、
買って帰ります。
家で、味見してみると、
コショウをちょっとかけすぎた、ラーメン程度の、
辛さです。
なるほど、そういう意味か、と
思いながら、あることに気がつきます。
レポンス ノルマンド(ノルマンディー風お答え)という言い回しが、
フランスにはあります。
それは、
Peut-être que oui, peut-être que non.
(=もしかすると、そうかもしれないし、そうでないかもしれない)、
という、答え方をさします。
ノルマンディー人は、
よく、そういう、はっきりしない答え方をする、というのです。
ははん、そういえば、
あのマダムは、レポンス ノルマンドで、
答えをしたのだ、と、
いまさらになって、気がつきました。
なるほど、
そういえば、ロワール地方の人に、
同じ質問をしたら、
「ほんのちょっと辛いです」とか、
「全然辛くないですよ!」とか、
その人の基準で、答えるはずです。
あぁ、
ノルマンディーに来たなぁ、と
あらためて、感じて、
おもしろく思いました。
きょうも、読んでくださって、
どうもありがとうございました。
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