2021年7月28日水曜日

ノルマンディー作戦

 


 去年は、疫病のせいで、夏休みにも家ごもりをしていました。
今年はと言えば、
去年よりも、フランスは、良くない状況ですのに、
夏休みで、旅行に行けるようになりました。

行き先は、ちょっと近場になります。
私たちは、
ノルマンディー地方を、選びました。
週末に出かけられるような、近い場所です。
2時間ちょっとあれば、着きます。

もともと、
私が大好きな場所です。

さて、
フランス人に、ノルマンディーと言えば、
「雨」と連想します。
おみやげ屋さんに行けば、
雨の絵が描かれたマグカップや、
傘を、売り物にしています。

実に、雨がよく降る。
ですので、草木はよく育ちます。
景色は青々しています。
この、しっとりした感じが、
日本人の、私の、気に入るのかもしれません。
























お天気が悪い、とはいっても、
いざ、こちらへ着いてみると、
けっこう、晴れ間があります。
そういう時に、さっと、浜辺へ出て、
散歩したり、海水浴をしたりします。

気温さえ良ければ、海につかります。
そういう時は、多少雨が降っていてもかまいません。
と、そういう心の勢いで行きます。
結局、いいお天気の日は、たくさんあったり、
雨が降るのは、
私たちが眠っている間の、夜だけだったりします。

それはともかく、
ロワール地方の人は、ほとんどここへ来ません。
それよりも、とかくパリジャンがよく来ます。
小さな町でも、シックなお店がたくさんあったり、
粋なレストランがたくさんあるのは、
パリジャン相手に、しのぎを削っているからかもしれません。
















(↑ 商店街では、カモメの子供が2羽、お母さんにご飯をねだっています。
ピーピー、うるさい。でも、何を考えているのか、お母さんは、動きません)


と、
どうしても、私はノルマンディーひいきになります。
あともう一つ、
いいことがあります。
天気が良く変わるせいでか、
ともかく、空が、おもしろい。
雲の形、
光の具合、
それはそれは、ステキです。

海につかって、
空をながめます。
そんな人は、あまりいないようですが、
お日様の前を、雲がさえぎると、
すごい風景が見えたりします。

それは、「後光」がさしたようになります。
昔の日本の旗、
大日本帝国の旗の、日の出のように、
光線が、実によく見えます。
絵に描いたようになります。

雲は、フチが、まっ白の線。
そして、中身は、濃い色になります。
海の中では、カメラを持っていませんから、
いっしょうけんめいそれを暗記して、
あとで、絵に描いてみよう、なんて思いますが、
私には、とうてい、できません。

神がかったような、
ものすごい図です。
















一つだけ、困ることがあります。
この地方では、牛がたくさんいて、
乳製品が、ものすごく良くとれます。
したがって、
バターにチーズ、
生クリームをふんだんに使ったお料理が、多いです。

それは、いいのですが、
野菜というものを、知らないのかしら、と思うほど、
野菜の量が足りないです。

ですので、
せっかくここへ来たのだから、
ここの名産を楽しもう、といっても、
しばらくすると、げんなりします。

ですので、
私たちが、エンジョイするのは、
海の幸を、シンプルにいただくやり方です。
きのうは、スズキをおろしてもらいました。
もちろん、「生で食す」と言ったら、
若い魚屋さんは、ぎょっとして、倒れそうになりました。

(きっと、ここの人は、
生クリームで煮るのでしょう)

きょうのお昼には、
伊勢海老を注文してあります。
これは、ゆでてもらいます。
シンプルに、おしょう油、塩、オリーヴ油で、
食します。
























また、
お肉屋さんでは、
アンチーユ風、ブーダンノワール(血の腸詰)
というものがありましたので、
それは、アンチーユ独特で、ピリピリ辛いですか?と尋ねますと、

「そうですねぇ、
私にとっては、もっと辛くしてほしい、
っていう感じです。
人によるんですよね」

という答えをもらいました。
ですが、
それでは、何のヒントにもなりません。
夫が、ピリ辛を苦手とするのですが、
私は、平気ですので、とりあえず、
買って帰ります。

家で、味見してみると、
コショウをちょっとかけすぎた、ラーメン程度の、
辛さです。
なるほど、そういう意味か、と
思いながら、あることに気がつきます。

レポンス ノルマンド(ノルマンディー風お答え)という言い回しが、
フランスにはあります。
それは、

Peut-être que oui, peut-être que non.
(=もしかすると、そうかもしれないし、そうでないかもしれない)、

という、答え方をさします。
ノルマンディー人は、
よく、そういう、はっきりしない答え方をする、というのです。

ははん、そういえば、
あのマダムは、レポンス ノルマンドで、
答えをしたのだ、と、
いまさらになって、気がつきました。

なるほど、
そういえば、ロワール地方の人に、
同じ質問をしたら、
「ほんのちょっと辛いです」とか、
「全然辛くないですよ!」とか、
その人の基準で、答えるはずです。

あぁ、
ノルマンディーに来たなぁ、と
あらためて、感じて、
おもしろく思いました。
















きょうも、読んでくださって、
どうもありがとうございました。


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