2018年9月1日土曜日

ちょっと、わかりにくい(貨物船の旅)



貨物船で旅をする、というと、
ご存知の方もありますが、
そうでない方もあります。
ですから、ちょっと説明が必要です。

すると、
たいていの方は、
ちょっぴり、心配の表情をなすって、

「で、その船の上では、
毎日、いったい何をして、すごすのでしょう?」
と、きかれます。

そうですね、
いろいろです。
ただ、ぼけっと、
空を見る。
海を見る。

お茶を飲む。
絵を描く。
ダンスのステップを練習する。
などなど。

でも、
たいていは、
そのへんで、私は説明をやめて、
ただ、笑います。

こんなに
「何もしなくていい」というのが、
ステキなことなのに、
どうして、それが、通じないのだろうと、
思います。
まぁ、だいたいは、
そういう会話の進展になりますので、
もう、慣れています。



船乗りさんの中にも、
どうしても理解できない、という方は、
多いです。
海が好きだから、この仕事をえらんだのだろうと、
思うのですが、
だったら、
私の船好きも、わかってもらえるかと思えば、
そうとは、かぎりません。

なんで、
19日間もかけて、
アメリカに行くんですか?

ええっ、
それで、マイアミには、
3泊しかしないんですか!
飛行機に乗って行けば、むこうで
もっと長いこと遊べるのに、と

びっくりされたりします。

2年前にも、
やさしいフィリッピンのコックさんが、

「この次は、
お金をためて、ぜひ客船に乗りなさい。
そうしたら、いろいろ楽しみがあるから。
お酒も飲めるし、
ダンスパーティもあるし。
こんどね。きっと」

と、
なぐさめ、励ましてくれたしりました。
ですが、私は、何千人も乗っている客船には、
ちっとも乗りたくないのです。
私は、
静かで、
2人しか客がいない、
実質的な、
この船が、大好きなのです。

それに、たぶん、
2人しかいないから、
こんなに、
ちやほやしていただけるのです!



もちろん、
船乗りさんだって、
もうちょっと話をすすめていくと、
海が大好きなのが、わかります。

たとえば、
船長さん。

あのステキな、
船首という場所の話をしていましたとき。

そうですね。としばらく考えて、

「あそこは、
夕暮れどきなんかに行くのが好きです。
とてもナイスです」

と、おっしゃってました。

あぁ、なるほど、
ロマンチックな時刻だなぁ、
あそこは、静かで、
風もなく、
ただ、静かに船が進んで行くのを感じられる場所だから、
なるほど、なるほど、
この方は、海の感動を知ってらっしゃる、と
私は、思ってしまいました。




若い船乗りさんなどは、
星を見るのを、とても楽しみにしています。
陸をはなれて見る、夜の空は、
すごいです。
そのすごさは、
圧倒的です。

私が星をさがしにいくのではなく、
星の方が、
アピールして、
必然的に、
そこに、ぞろぞろと、
ただ、ひたすら、いるのです。

これでもか、というくらい、
水平線のところまで、
べったり、星空が、ぬってある、
というふうに、見えるのです。

天の川などは、
白っぽく、
ほとんど、シミのように見えます。
ペンキをこぼしてしまった、という
感じです。

そんな星空が見えるというのは、
都会育ちの私にとっては、
びっくり、という言葉では、足りません。
圧倒される、というレベルです。

そして、それを見ながら、
自分の生活、人生を考えると、
なんだか、
とてもちっぽけというか、
小さい、小さい。
それにひきかえ、
この空の大きさ!
その深さ!

別に、ちょっとぐらい何かあっても、
いいじゃない、と思えます。
どうして、
人間は、戦ったりするんだろうな、とも、
思います。
これを見たら、
ちょっとは、気が変わるんじゃないか、と
思うくらいです。

夜中、
たまに目がさめて、
窓の外を見ると、星がベターっと見える。
あわてて
めがねをかけて、
窓をあける。

そんなことが、何度かありました。
一度は、
闇の中に、オレンジ色の光が見えるので、
これはいったい何か、
遠くで、船が燃えているのだろうか、と
ふしぎに思いましたら、

そうではなくて、
三日月が、ちょうど、のぼるところだったということが、
わかりました。

それが、黒い水面にオレンジ色に、うつっていました。
少しずつ、とんがりの月がのぼるのは、
実に、めずらしくて、
楽しい光景でした。
ですが、とうてい私のカメラでは、
写せるわけはないのです。
これを絵で描けたらいいのに、思いました。

などなど、
もう少し、話は続きます。
また、この続きを書きたいと思います。

きょうも、読んでくださって、どうもありがとうございました。

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4 件のコメント:

Chiyo さんのコメント...

ジャスミンティーさんより、うれしいツイートをいただきました。

*****

貨物船の旅。
自然との対話や醍醐味が味わえる、
素敵で豪華客船のそれとは
全然比べ物にもならないような魅力があるんだろうな〜、って
毎回読んでてわくわくします。

続きも楽しみです。(^-^)

*****

Chiyo さんのコメント...

ジャスミンティーさん、こんにちは。

貨物船の旅行記、
読んでくださって、どうもありがとうございます。

ええ、とても楽しかったです。
それを感じていただけたのなら、
私も、うれしいです。

いつも、リアクションしてくださって、
どうもありがとうございます。
励みになります!

Chiyo さんのコメント...

たまさんより、うれしいメッセージを、いただきました。


*****

Chiyoさん、こんにちは。
大方の人(特に日本人)にとって、船旅イコール客船での旅でしょうから、
貨物船での旅を興味深く読ませて頂きました。

船員さんたちからも貨物船の旅を同情(?)されるなんて笑ってしまいました。
好きで、わざわざ貨物船を選んでいるのにね。

まだ一度も長期の船旅を経験したことはないのですが、やはり豪華客船は遠慮したい私です。
飽きさせない為にたくさんのアトラクションが用意され、
お食事も素晴らしいであろうとは、漠然と想像がつきます。
でも、何処にも落ち着く場所がない気もするのです。

Chiyoさんがいわれたように、何もしない自由を満喫!
ステキな事だと思います。

さて、

>星々がこれでもか、というぐらいべったり星空がぬってあるように見える。
>天の川はシミのように見え、ペンキをこぼしてしまったかのたかのよう。
>黒い水面にオレンジ色を反射させつつ、三日月がのぼるさま。

夜空にうごめく星たちのエネルギーに圧倒されるChiyoさんの姿が見えるようでした。
そんな光景を見せられたら、
とても言葉になんてできないですよね。
唯々嘆息かも。
あるいは叫ぶ?

とにかく、そんな光景を思い浮かべ、
想像による追体験を楽しませていただきました。

たま

*****

Chiyo さんのコメント...

たまさん、メッセージをありがとうございました。

読んでくださって、それだけでもうれしいですが、
なんだか、同じような深さのレベルで楽しんでくださったようで、
とてもうれしいです。


星空は、
プラネタリウムで見たよりか、
ずっと、明るかったです。
それが、見ほうだいに見られます。
ブリッジで見張りの士官さんたちも、
そら、流れ星だ、
あ、ここに火星と木星が見える、
土星はあのあたり、なんて、楽しみにしていました。

まだまだ、書きたいことはあります。
もしかすると、また書くかもしれません。

どうもありがとうございました。