2018年8月26日日曜日

船乗りさんたちのこと


こういう景色が、前も後もぐるーっと360度見えます。大西洋に、たった一人という気分。

さて、
私は貨物船の旅が、大好きです。
と言うと、

「なにか、船会社に知り合いがあるのですか」

と、きかれることが、たまにあります。
ですが、
そうではありません。
お金を払えば、だれでも乗れます。

それに、
貨物船は、いろんなところを、
一年中、走っています。
ですから、
「私、こういう時期に、時間がとれたんですけど、
どんな航路がありますか」と、
船会社に、聞いてみる。
すると、
たくさんの提案を、してくれます。

とてつもなく大きな貨物船には、
だいたい20数人、人が乗っています。
ふつうの客は、1〜2人乗せてくれます。



船乗りのみなさんは、お仕事中。
私たち客員は、バカンス中。

ですから、
私は、なんとなく、どこに身をおいていいのか、
はじめは、ぎこちなく、感じます。
みなさん、口が少ないですけれど、
それでも、
歓迎してくださっているのは、伝わってくるような気がします。
でも、
どうやって、うちとけたらいいのか、
いつ、どこで、どんなふうに。
それが、よくわからないです。
なすがままにするほか、ありません。

3度の食事は、
士官さんたちの食堂、メスルームというところで、
とります。
そこが、
一番、私の苦手で、かつ、大好きなところでもあります。
理由は、
みなさん、中国語で、話をしてらっしゃる。
英語は、伝わるけれど、
仕事の話か、
それとも、何気ない話をしてるのか、わかりませんけど、
私は、会話に、入れません。

でも、
たまに、英語で、会話が成り立つこともあります。
私の英語がヘタなせいで、
なんどもくり返し、聞きかえすのは、
気がひけます。
ですから、
とてもシンプルな会話になります。
が、お話しできる時は、うれしい!



船に乗りこんで、間もないある日。
夕食を終えて、
自分たちのキャビンにもどろうと、階段をのぼろうと
していましたところ。

4〜5人の士官さんたちに、ささっと、取り囲まれてしまいました。
まるで、ユウカイされそうな感じで、です。

そして、
「さて、これから、
どんなアクティビティを、予定してるのですか?
チェスなんか、どうですか?」
と、聞いてきます。
とても、強引な感じです。

つい、私たちは、
「えーっと、
はい、チェス、いいですね」と
答えてしまいました。

その、強引な感じ、というのが、
いかにも、かわいらしいです。
なぜかというと、
計画して、
客員さんたちに接近しよう、っていう
おもわくが、あったようなのが見えるからです。
実に、フレンドリーな「おもわく」です。

その勢いで、
じゃあ、客員の娯楽室へ行きましょう、と、
みんなで、一緒に遊ぶことになりました。

とびきりおいしい紅茶を、
すてきな中国の急須で、いれてくれたり、
いろんな話をしたり。

「娘さんは、何人兄弟?
あぁ、妹さんがいるんですね。
この、Y君にも、妹がいる、お兄さんもいる。
僕たちは、みんな一人っ子だけど」

若い下士官の人たちは、
日本に興味があって、
いろいろ聞いてきます。
だいたい、日本にあこがれています。
温泉に行きたい、とか。
それはいいけれども、
たまに、歴史のことを聞かれます。
すると、私は、つらいです。
私は、歴史をよく知らないのと、
なんだか、私の国が、
なにかまずいことをしてしまったような、
そんな気がするからです。

でも、気まずくなったら、
みなさんも気をつかって、楽しい話にもどって。
私は、中国に興味がありますから、
紙とペンで、
いろいろ、話をします。
(若いみなさん、漢字が、じょうず!まるで、
筆で書いているみたいです)
それが、楽しいです。

中国の人と話したのは、
初めてです。

そのあと、
また、
話し出したら、長〜くなってしまいますが、

餃子を一緒に作らせてもらいました。
長い時間をかけて、
船長さんから下士官まで、みんなで、
粉から、肉をひくことやら、野菜をイヤというほど刻むことやら、
一緒にやって、
一緒にいただく。

それは、
私にとっては、
今回の旅のクライマックスという楽しさでした。


(↑ 急に、雨がばらばら、ふってくる)


その、楽しさ、
船乗りさんたちの、とってもいい笑顔、
いい雰囲気の写真も、いくらかあるのです。
ほんとうは、ここにのせたく思い、
顔を伏せて、のせようか、とか、
いろいろためしましたが、
どうも、うまくいきませんので、

あの夕ごはんあとの、チェス遊びの時、
あんなに、いいお天気だったのに、
ばーっと、雨がふってきて、
みんなで、おどろいて、
「これが、船の生活さ〜!」と、
みんなで笑った時の写真を、
かわりに、のせました。

船に乗ってると、
予告なしに、急に天候がかわったりすることが、
しょっちゅうあるのだそうです。


(↑ 船を降りずに、見張りに立っている士官さん。
降りる人は、ここでサインしてから降ります)

寄港しても、
船乗りさんたちは、船からおりられるとは、
かぎりません。
昔は、何日間も停泊していたそうですから、
そういう余裕もあったようですけれど、
今では、そうもいきません。

すると、
降りられる人は、ラッキーです。
何ヶ月ものあいだ、船の上で、仕事をしているのです。
土が恋しくなるのは、わかります。

私たち客員にも、
ぜひ、いってらっしゃい、と、
すすめてくださるのですが、

どちらかというと、
私は、お金をはらってまで、船にのっているのです。
別に、土をふむことには、魅力がありません。
ですが、
みなさん、うらやましい、と言いながら、
いろいろ算段してくださるので、

それをムゲにするのも、申しわけなく、
2度、おりてみました。

2度目は、
アメリカの、チャールストンという港です。
夜もおそいし、
船にもどってくるのに、手違いがあったら、
どうしよう、
私たちをおいて、船が発っていっちゃったら、どうしよう、と
不安でした。

そんな話をしたら、
じゃぁ、
これから、士官の人が、何人か買い物にいくから、
それについてらっしゃい、と
算段してくれました。
この人たちに、くっついてらっしゃい、
離れちゃダメですよ、と、
念をおして、
見送ってくれました。
アンラッキーにも、船をおりられない士官さんが、です。

そのたびに、
なんとなく、申しわけないなぁ、と思います。
でも、そういう仕事なんですから、
しかたありません。

そして、蒸し暑い夜、
若いみなさんと、スーパーに行ったり、
電気製品の量販店に行ったりしました。

なんだか、学生のころの自分を思い出して、
若返ったような気持ちになりました。
楽しかったです。
すっかりなじんでしまって、
最後の日、
みなさんとは、別れがつらかったです。

本のはなし(日本の本、中国の本)をしたり、
星を一緒に見て、
星座のアプリで、これがどうのこうの、とか。
クジラが潮を噴いてますよ、見にいらっしゃい、と
キャビンに電話してくれたり。
船の一番高いところにある、操縦室に行けば、
おいしいお茶を、いれてくれたり。
ピンポン教えてもらったり。

みなさん、元気にしてるかな、
便りをくれたらいいのにな、
と、思います。

きょうは、
ずいぶん、長くなりました。
ここまで、読んでくださってどうもありがとうございました。



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2018年8月23日木曜日

頭の中、ごちゃごちゃ



実は、
「ふだん日記」というこのブログを、
しばらくお休みしていました。
日付を見ると、2ヶ月ほど、です。

私の頭の中は、つぎつぎと変わっているような
気がするのです。
それが、
このところ、どんどん変わっているような気が、
しました。
その間、
それをながめている方が、
それを書き出すより、興味があったのです。
(それについては、また書くかもしれません)

さて、もうそろそろ、
また、日記を書きたいな、どうしようかな、と
思っていましたら。

ある方から、
どうなさっていますか、
いつも読んでいます、と、メッセージをいただきました。
それだけでも、うれしいですが、
共感してくださること、そして、
最上級のほめ言葉も、たくさんいただきました。
私は、とっても、うれしくなってしまいました。


そのお言葉に勢いがついて、
また、いつものとおり、投稿してしまいました。
楽しいことです。



とはいっても、
頭の中は、
今でも、いつも、ごちゃごちゃ。

ただでも、いろんなことが
はいっている頭です。
それに加えて、
貨物船の旅の強い印象、
今、やっている片付けごと、
などなど、
そして、
毎日、
きょうは、何を食べようか、と
考えること、日に2度。
などなど。

あぁ、そういえば。


船の上では、
おもむね、食事がいいです。
毎日、毎日、チーフコックさんが、
ちがったものを、出してくれます。
よく、こんなにアイデアが浮かぶな、と感心します。

今年の貨物船の旅でも、そうでした。
士官の方13人が、中国の人でしたから、
食事も、中華でした。

ル アーブルで船に乗りこんだとき、
なんとなく、中華レストランのようなにおいがしました。
歩いて行くと、
「福」という文字の書かれた大きな紙が、
壁のあちこちに見えます。

夫と顔を見合わせて、
「やったー」と、思いました。
私たちは、中華が大好きなのです。
これから、
毎日、中華が食べられるかもしれない、と
思いました。
それは、ほんとうでした。

朝ご飯まで、
中華もありました。
パンと紅茶でもいいのです。
でも、
スチュワートさんが、

「きょうは、
(中華)クレープ焼きました。
いかがですか、マーム?」
などと、きいてくださいます。
ときには、ラーメン、チャーハンも、
ありました。

おひる、夕飯は、
毎回、だしのきいたスープが出てきます。
そのだしは、
きのう食べた、お肉や、お魚の骨からとったものだ、と
しばらくして、わかりました。

たとえば、
きのうは羊肉だったから、
きょうは、そのだしで、海藻スープ。

きのうが、鳥肉だったら、
そのだしで、コーンスープ。

お魚だったら、
それで、タケノコと卵のスープ。

というのは、ごく一部だけで、
お料理は、
毎回、ちがう、ピリ辛中華。
たまに、ビフテキもありますが、
ご飯とスープは、きちんとついてきます。

よくも、こんなにバリエーションに富んだ献立が、
できますね!

私は、感心、感心!

拍手したくなります。
そして、
私はこれから、何を作ろうか、と
ちょっぴり、トホウにくれます。

と、とりとめなく書きとめました。
それにおつきあいくださいまして、
どうもありがとうございました。
また、お会いしいましょう。



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2018年8月20日月曜日

貨物船で、アメリカに行く



(おひさしぶり!)

この夏は、
また、貨物船に乗ってきました。
これで、3度目です。
もう、やめられない、というほど楽しいものです。

今年は、
ヨーロッパから、大西洋をわたって、
新世界、アメリカに行くという旅でした。

合計19日間、船にゆらゆらと乗っていました。
その印象といったら、
ものすごく強くて、
いったいどこから、お話ししていいのやら。



海、
空、
天の川、
火星、金星、
星がありすぎて、明るい夜空、

お月さま、
お日さま。

中国人の士官さんたち、
フィリッピンのクルー、
おしゃべり、
ピンポン、
お茶。

いいお天気の日。
しけた日。

ぎょうざパーティー。
おいしい中華。



新世界、アメリカに行くのです。
ヨーロッパから、といっても、
まずは、

フランスのル アーブルで船に乗って、
ベルギーの古い港、アントワーペン、
オランダ、ロッテルダム、
そして、ドイツのブレーメンの港に、
それぞれ寄港。

そんなふうに、いったんアメリカから遠ざかってから、

まるでパチンコのゴムをひっぱって、
玉をとばすように、
一直線に、アメリカに向かいます。

9日間かけての、次の港は、
サウスカロライナ州の、チャールストン港。
そして、次が、
私たちのおりる、マイアミ港。



それが、
毎日、「アゲゼン、スエゼン」です。
ベッドメーキングだって、毎日やってくれます。
それは、ただでも、ラクで、楽しいことです。

それに、
船の進むスピードが、気持ちいいのです。

速度は、だいたい時速25キロ、
つまり、
自転車か、走ってる人の速さです。
ですから、
窓の外は、いつも、
景色が、なめらかに移りかわっていくのです。
その速度が、なんとも、静かで、
心地いいです。

そのくせ、
昼も、
私たちが眠ってる夜も、
船は、たんたんと、進んでいるのです。
その頼りがいのあることといったら、
心強さが、増します。
いとしい気持ちがします。

そういう、最高の、バカンスです。

少しずつ、お話していきたいと思います。

(もしお読みになりたければ。
2016年、はじめての貨物船の旅
2017年、イルカがたくさんの、貨物船の旅


きょうも読んでくださって、どうもありがとうございました。



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