先日は、
お墓まいりに行こうと、
田舎の道を走らせました。
一昔前は、
よく行っていたのです。
でも、
このあたりの、親せきの人たちは、みな、
天国に行ってしまいましたので、
しばらく、行っていませんでした。
車を走らせていると、
日曜日に、お呼ばれをして、
お昼から、夕方まで、えんえんと続くランチ、
そんな思い出が、もどってきます。
食前酒から始まって、
前菜、
主菜(主菜が、肉と魚、2つあることも)
チーズ、
デザートと、出てきますし、
そのつど、別なワインを開けます。
すると、
もう、最後の方は、
どうして食べているのかわからなくなるくらい、
お腹がいっぱいになってきます。
そうと分かっているので、
はじめの方で、調節をして、
少しだけいただくようにしていますが、
それでも、かなり、お腹いっぱいになります。
「もういいです」とお断りするのが、
もうしわけないですので、いろいろ工夫するのです。
お腹はいっぱいですが、
なにしろ、雰囲気は、楽しい。
おかしいことを言っては、みんなで笑って、
時が、すぎていきます。
そんな思い出もありますし、
また、
そんなにおめでたいことがなく、
ふつうの、
日曜日の、ちょっとしたごちそうでも、
ずいぶん、立派な、
手作りの食事が、美味しかったです。
こちらの方は、量がぴったり私にあいます。
デザートのぶんも、お腹に余裕がありますから、
おいしく、いただける、などなど、
と、
思い出が、わいてきます。
そんな、ひと昔の人たちは、
もう、いません。
こんな、たっぷりの食事は、
もう、流行っていないようです。
また、
その人たちの話は、おもしろかったです。
たとえば、
実は、ひと昔前は、
馬を使って生活をしていた人たちなのです。
それが、ある日、突然、
自動車というものがあらわれて、
農業も、馬や牛ではなくて、
トラクターでやるようになりました。
それで、遠くに行けるようになったり、
街に出て暮らすようになったり、と、
ずいぶん、変わった、ということです。
そんな話を聞くのは、めずらしくて、
興味津々になってしまいます。
そんな人たちのところへ、
週末、お泊まりに行ったりすると、
それは、もう、古くて、古くて、骨董品のような、
おもてなしを受けます。
白地に白い刺繍のついた、テーブルクロス、
お料理は、薪のストーブのようなレンジで。
ベッドは、
白い、これまた、白の刺繍のついた麻のシーツ。
寒くないように、と、
炭を入れた、アンカのようなもので、
寝る前に、あっためてくれます。
夕ご飯は、
電気のランプはありましたが、
まるで、ろうそくか、
灯油ランプのように、うす暗い、部屋です。
一世紀くらい前の生活のようでした。
ご飯のあとは、
寝るまで、かぎ針などで、編みながら、
暖炉を見守ります。
寝るときには、ヴィッシーという、
ハッカ砂糖をすすめられます。
えーっ、そんなの歯にわるいですよ、と
言いたくなりますが、
そんなの、考えていないようです。
そんな人たちのお話、
ごちそう、を、思い出しながら、
カウントリーロードを、走らせました。
たぶん、もう、
田舎には、あまり人がいないと思います。
昔、さかえていた店も、閉まっていたりします。
草むらには、
ひたすら、野生のシクラメンが、花ざかりでした。
白いのと、
赤いのがありました。
木のあるところは、
枯れ葉の香りだか、モミジの香りだかわかりませんが、
毎年のように、いい香りがしました。
日本でも、
フランスでも、秋の、この香りは、同じでした。
野原にあった、コスモスの花を少し、つんで、
帰りました。
さて、
秋というのに、この地方ではめずらしく、
お天気がいいです。
おとといなどは、
霜が降りたりしました。
ですので、このあいだの日曜日には、
思い立って、
また、ちょっとはなれた、
ロワール川沿いに行ってみました。
葉の色は、変わってきて、
きれいといえば、きれいですが、
日本のような、モミジの華やかさはありません。
赤い色が、足りないのです!
それでも、
川の方におりていきますと、
大きな木の、てっぺんの方が、
さわさわと、いい音を立てています。
これは、ポプラの木の音、と思うのですが、
木の形は、ポプラ独特の形ではありません。
ちがうようですが、
でも、葉っぱを見ると、太ったひし形をしていて、
やはり、ポプラとよく似ています。
あぁ、これは、
いい音の出る葉の形なのかもしれない、と思います。
ちょっと、軽い、ぺんぺん草のような、音です。
なんとも、いい音です。
そして、
お日様が、肌に当たって、ポカポカ気持ちいい。
それに、
ロワール川の水は、とても澄んでいて、
浅い底まで、よく見えます。
砂の色も、ぬれて、うす茶色になっています。
見れば、
小鳥が食べられそうな、木の実や、
タネは、いっぱいあるようです。
鳥の声も、いろいろ、聞こえてきます。
元気いっぱい!
ここは、植物園ではないので、
そう、華やかに、花は、咲いていません。
それでも、ちゃんと、ステキに、
個性の色をしていたり、
形をしています。
そして、
家へ帰って、
お茶と、秋のくだものを、いただきました。
この次、あのロワール岸に行くのは、
きっと、暮れのお飾り「ヤドリギ」を取りに
行く時だろうな、と思ったりしました。
街中では、気がはやいこと、
もう、クリスマスのイリュミネーションの準備が、
なされています。
「クリスマスには、何が欲しいの?」と聞かれたりもします。
あぁ、そういう時期だな、と思いました。
きょうも、読んでくださって、
どうもありがとうございました。
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