先日、パリまで足をのばしました。
そして、
アルベルト・エデルフェルト という画家の、
展覧会を見ました。
フィンランドの人です。
場所は、プティパレ。
朝早く、
メトロの階段を上がっていくと、
今までの景色とはがらっと変わって、
とつぜん、木と空が見えます。
ちょうど、マロニエが花を咲かせているのですが、
見えるのが、白のと、赤いのと。
何だか、おめでたい気持ちになります。
このごろでは、展覧会にふらりと行くことなんてしません。
前もって、何日の何時に、と予約をするのです。
しないとならないのです。
でも、これには、
ちょっと、文句を言いたくなります。
もし、その時間に着けなかったら、おじゃんになりますし、
その前に、小腹がすいて、
ちょっと手間どったりすれば、これまた、モンダイ。
その予約した時間に、
絵を見る気分になっているかどうかも、これまたギモン。
などなど、
いろいろ、きゅうくつな感じがします。
でも、これがきまりです。
私は、ずいぶん余裕を持って行きましたので、
自分の時間になるまで、
そのあたりを、ぶらぶらしました。
その日は、とびきりお天気が良かったです。
だんだん、ツーリストも増えてきました。
コロナが、いい方に向かっている、という、
いいきざしです。
これは、うれしいことですが、
しばらく、ツーリストのいない静かなパリを、
楽しんでいましたので、
こうやって、人が増えるのは、ほんの少し残念。
と、思うのは、
私が、自己中心に考えているからです。
私だって、ツーリストなのです。
ツーリストというのは、
働きもせず、ただ、のんきに、
ぶらぶらして、
ながめて、
写真を撮って、
歩くリズムも、バラバラで、
何とも、しょうがない存在だと思います。
自分がそうなのですから、
だれに文句を言っていいのか、わかりませんが、
やはり、なるべく少ないほうがいい、と
思ってしまいます。
橋の上には、
とてもオシャレをした、東洋の女性が数人、
写真を撮り合っています。
それは、何だか、ほほえましいです。
と、そんなことを考えながら、
噴水の前で、
カラスを見る。
しばらく、写真も撮らせてもらいます。
そして、
私が立ち去ろうとすると、地団駄を踏むように、
カーカーと騒ぎ出したので、
あ、これは、何か食べ物をもらえる、と
思っていたのかもしれない、と気づきます。
ごめん!
でも、私のポケットには、何もないのよ。
実は、私も、少し何か食べたかったのです。
展覧会の前に、
クロワッサンと、カフェオレを予定していたのです。
ですが、まだ、カフェテリアが開いていない。
しかたなく、そのまま会場に行きます。
展覧会では、
説明も読まずに、
会場を歩いて、好きな絵があったら、
そこで止まって、じろじろ見ます。
心にひびいたら、
そこにずっと、います。
そんな風に、気ままに見ます。
一つ、おかしなことがあります。
私が見ていると、
どういうわけか、人が集まってくるのです。
これも、ちょっと、心の中では、
「もう少しほっといて」と言いたくなるのですが。
そして、
私が去ると、みなさん、どこかへ消えてしまいます。
その絵は、ちっとも人気がないように、
なります。
私は、自分の趣味で、
自分の勝手で見ているのに、
じろじろ見ていると、
必ずと言っていいほど、人が集まってきます。
読者のみなさんも、今度、試されたらいいと思います。
展覧会で、
何でもいいですから、ひと気のないところで、
作品をじーっと見つめて、
ずーっとそこにいると、どうなるか。
きっと、人が集まってきますから。
心にひびいた作品は、たくさん。
ただし、お腹が空いて、
集中力がなくなってきたのには、困ります。
ですので、
割と速いスピードで、見回ります。
そして、一つ、特に、
心を打たれたのがあります。
このアルベルトさんという画家の、やさしいまなざし。
その絵は、
おさいほうを習う、子どもたちを描いたものです。
洋服屋を育てるために、ということですが、
そこは、
孤児院ということです。
どうして、フィンランドに孤児院が?と
不思議に思います。
これは、もしかすると、
戦争孤児かもしれない、
ウクライナと同じようなことが起こった時のかもしれない、と
思ってしまいます。
調べないとわかりませんが、
この国も、たびたび、そういう迷惑を
受けていますから、
そうかもしれません。
8才くらいの男の子たち。
体をきたえて、国を守りなさいというのではなくて、
おさいほうを習いなさい、というところが、
やさしく思えました。
それを見ている、画家は、
何を思っていたのかしら。
いくら絵がステキでも、
集中力が、限度になりましたので、
カフェテリアに行きます。
やっと、一息つけます。
フランスのカフェでは、
カフェオレを頼むとき、
「クレーム」、と頼むのです。
それを思い出して、
わざわざ、私は
「クレーム一つとクロワッサンください」と、
お願いします。
すると、
ウエィターさんは、しばらく考えて、
「はい、カフェオレですね」と念を入れました。
私は、心の中で、
うーん、そうか、時代は変わったのだ、と
思いました。
若くて、
フランス系ではないウエィターさんでした。
そのあと、
ショッピングをして、
とあるカフェのテラスで、飲み物をたのんだ時。
これは、とっといてください、と
チップを差し出しますと。
「あぁ、ありがとう、
これ、あなたに差し上げる。だって、
昔が思い出されるでしょう?」と、コインを一枚くれる。
えぇ、私、そんな、昔を思い出すような年かしら、と
少しびっくり。
見れば、フラン時代のコインです。
そうねえ、
時はたったのですね。
また、時代が変わったのだなと、思います。
なんとなく、
取り残されていくような感じもします。
とはいうものの、おもしろい、
時代の変化も、あります。
それは、
オペラ座の前で、
階段に座って、街の音楽家を聞いていましたとき。
となりでは、
若い男性が、ケーキを一つ、箱から出して
食べようとしています。
フォークも持っていませんから、
どうやって食べようか、と
ちょっと困っています。
私まで気になって、
チラチラ見てしまいます。
そのケーキというのが!
まっ白なチーズケーキ。そして、
その上に、桜の葉と、
桜の花の塩漬けが、のせてあるのです。
これは、日本の桜餅と、
レアチーズケーキの、合いの子に違いありません!
味を想像しただけて、
うれしくなります。
どこで手に入れたのか、
お聞きすればよかった、と、
あとで思いました。
一昔前のパリでは、ありえなかったことです。
フランスには、桐のタンスはありませんが、
桐の木は、たまにあります。
パリでも、
花がさかりでした。
あら、もうそんな時期、と思いました。
一日中、いいお天気でした。
ずっと探していたのに、
なかなか見つからなかった、
オレンジ色の、ゆったりジーンズを、やっと、手に入れられました。
うれしくなりました。
がんばって、長いこと並んで、試着をして、
がんばって、長いこと並んで、レジにたどり着けました。
少し、人が多くなって、
にぎやかなパリになったな、と思いました。
きょうも、訪ねてきてくださって、
ありがとうございました。
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