うちの、小さな庭のすみには、
大山木という大きな木があります。
それが、今の時期には、よく葉を落とします。
その落ち葉は、だれかが拾わないとなりません。
毎年、めんどくさいな、と思いながら、
ホウキで集めたり、
手で拾ったりします。
その葉っぱは、お札の2〜3倍も厚い、
しっかりとした、見事な、落ち葉です。
これで、何かができそうなくらいです。
私は、これが千円札だったらいいのに、と
思いながら、拾います。
毎朝、千円札が庭で拾えたら、私もうれしいですし、
時間がとれなければ、
門を開けて、「拾い放題」というふだをかければ、
誰かが来て、あっという間に、きれいになると思います。
でも、
今のところ、この落ち葉の使い道は、
わかっていません。
ふつうの枯葉ならば、ためておけば、
いい堆肥になったりしますが、
この、しっかりしすぎた、セルロイドのような枯葉は、
ただただ、ゴミ箱へ、行ってしまいます。
ヨーロッパでは、5月といったら、
寒く、ゆううつな冬が終わって、
若葉やお花が、ステキな時です。
私も、ずっと、5月は、一年で一番美しい月、と
思っていました。
それが。
このところ、そうとも言えないのです。
今週も、アフリカから、熱い空気がやって来ます。
あすなどは、30度が予定されていますし、
おまけに、日本のように湿っぽいのです。
そんなことは、初めてです。
私は、暑さが苦手です。
雨戸を閉めて、
ひんやりとした一階にこもります。
なるべく、外には出ません。
そろそろ、
お布団も、上の階から1階に、おろしてくる予定です。
いつもなら、
それは、7月のはじめごろなのですが。
以前は、
夏服といったら、大して着る時期もなく、
ちっともすりへらなかったですが、
最近では、ちょっと様子が変わってきています。
どこかへ引っ越すことを、
考えないとならないかもしれません。
などと、今日は、
文句ばかり言ってしまいます。
そんな自分に気がついて、ある人のことを考えます。
ブリュノーという、用務員のおじさんです。
私より少し若いようですが、
私より先に、定年で、いなくなってしまいそうです。
それは、残念だな、
もっといて欲しいのに、と思うような人です。
一年前くらいに私の勤めるところに、来ました。
親切で、
テキパキ仕事をしてくれるから、
みんなに好かれています。
当たり前です。
なぜ私が、こんなに大好きで、
もしかすると、
神様のように尊敬しているのかと言いますと。
「太陽っていうのは、頭の中にあるのさ」って言うのです。
というのも、フランスでは、
天気が悪いと、すぐ文句を言い始めます。
まぁ、それが、あいさつがわりのようなものです。
すると、ある日、ブリュノーは、
「太陽なんて、自分の頭の中にあるのさ」と、
ボソッと言っていたのです。
なるほど。
ブリュノーさんに、
あいさつで、「元気?」と聞けば、
「元気!ぼくはいつも元気さ」と言うので、
はじめは、おかしいなぁ、
なんか、変だなぁと思っていました。
フランスには、薬で元気を出している人が、
けっこういる、と言う話ですから、
もしかすると、それかもしれない、と思っていたのですが。
でも、
色々話をしているうちに、そうではなくて、
本当に、体を動かして、
福を呼んでいるような人だということがわかります。
そのブリュノーさんは、
しなくてもいいのに、
私の仕事が終わると、
部屋のゴミ箱を、きれいにしてくれます。
初めは気づかなかったのですが、
ある日、それに気づいて、お礼を言いますと、
「ははは、だったら、
学長に、それを伝えておくれ。
そしたら、お給料値上げしてもらえるかもしれないからねぇ!」と
笑っています。
と、そんな風に、ごまかしてますけれど、
私たち公務員は、そんなことで、
お給料値上げ、なんてことは、ありえないのです。
照れて、そんなこと言ってるのだと思います。
それにしても、
それは、お掃除のおばさんの分担なのでしょう?
と、私が、不思議がりますと、
「ぼくがこうするとね、お掃除の人たちは、
その分、時間ができるでしょ。
すると
他のところを、もっときれいにしてくれるからね!」と
言います。
だから、みんなが得する、というような感じです。
また、
職場では、皆の誕生日がわかるようになっていて、
その日には、軽く、
祝い合うのが習慣です。
私は、ケーキを焼いて持っていきます。
すると、今年、ブリュノーさんは、
お花をくれました。
ささっと、外へ出て、雑草(?)のような、
かわいらしいお花をつんで、渡してくれました。
私が、野の花が好きと言うことは、
たぶん知らないと思いますけど。
うれしいお花ですので、
今でも、よく思い出します。
そして、よく、
「どう、仕事は。
うまく行ってる?
何か、することあったら、言って」と
声をかけてくれます。
もう、人の役に立つことが、
楽しくって仕方ない、という感じです。
コロナの始めのころには、
雑巾で、あちこちを、しょっちゅうふいていました。
テキパキ、テキパキ。
こういう人が職場に来てくれて、
よかったなぁと思います。
みんな、そう思っていると思います。
もともと、この、
用務員の仕事の遅番は、
家に帰るのが遅くなるので、人気がないのです。
今までに、何回も人が変わりました。
ブリュノーさんも、それを気にしてるかな、と思えば、
そうではなくて、
この時間帯が、ものすごく気に入ってるのだそうです。
夜は、遅くまでにぎやかにすごして、
朝は、遅くに起きるのがいいのだそうです。
だから、自分にぴったり、と言っています。
へぇ、そうなんですね、と感心。
でも、もし、朝早くの仕事に就いたとしたら、
やっぱり、「この時間帯がすごくいい」なんて、
言うのかもしれない、と私はにらんでいます。
なんでもいいですけれど、
いつまでもこの仕事場にいてほしいな、と思います。
そして、
私も、ブリュノーさんの、
「太陽は頭の中」を思い出して、
体を動かしていこう、と思いました。
第一、
その方が、がぜん、楽しいですし!
きょうも、読んでくださって、ありがとうございました。
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