2016年2月13日土曜日

目がさめたら、世の中がちがって見える


本などで、一夜にして、人生観がかわった、
というような話を読んだことがあります。
そんなことがあるのだろうか、
私もそんな経験をしたい、と思ったりしました。
でも、そういうことが、ちょっとだけですが、
私にも起こりました。

ノルマンディ海岸に、
ヴァッシュノワールの崖(黒牛の崖)という
ふしぎな場所があります。
引き潮のときに、粘土の地層がむきだしになり、
アンモナイトだとか、貝の化石が採れるのです。
それも、ざくざく採れるのです。

化石地層は、べつに保護されているというふうでもなく、
制限も何もありません。
お金を払うところもありません。
子どもから、お年寄りまで、拾いに来ています。
私は、よくわからず、いくつかのかたまりを家に持ち帰りました。

こびりついた粘土をはがすと、
本当に、貝の化石が、出てきました。

それが、ジュラシック時代の牡蠣だというではないですか!
恐竜の時代の、です。

そのあと、地球は氷河期にはいって、
そして、それが解けて、
原始人が生まれて、
と、長い長い歴史がありました。
この化石は、それを見てきた(?)のです。
私は、この貝殻をさわりながら、
その時の長さに、とても感心しています。
それから、自分は、この世を去る時、
たぶん、化石にはならないだろうと思いました。

いくらがんばっても、私は消えます。
この貝殻は残ったけれど、私は、化石にはならないはずです。

と、そう思った時、力がぬけてしまいました。
お腹の底から、クックックッと、笑いがこみあげてしまいました。

それ以来、
いくら、歴史の話をきいても、
授業中に、ベートーベンよりバッハの方が古い、と話しても、
その古さが、軽々しく思えてしまいます。

亡くなった、私の先祖の人たちが、若々しく思えます。
仲間のように感じられます。
私の人生も、がくぜんと、かろやかに思えてきます。

私は、化石にもなれない。
なーんだ、と
軽く、気楽な感じがします。

それ以来、何かあるごとに、
化石のことを思い出します。
そして、何億万年というスケールの年表を、思い浮かべます。
地球が海におおわれていて、大きな貝が泳いでいるのを
思い浮かべます。
すると、肩の力がぬけてしまいます。

人生観が変わる、というほどではありませんが、
でも、ちょっと、あれ以来、
かなり気楽になった感じです。

それにしても、あの化石海岸はふしぎです。
今回のノルマンディー旅行(記事はここ)でも、立ち寄ってみました。
やはり、マニアックな人が、
ピッケルを持って、採りに来ています。
あんなに採り放題にしておいて、大丈夫なのでしょうか。
ちょっと、気になります。



















きょうも、読んでくださってありがとうございました。

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追伸 ここで採れる化石の写真を見たい方は、このサイトがきれいです。Gendry Damien というフランスの学者の方のサイトです。


4 件のコメント:

Chiyo さんのコメント...

ジャスミンティー さんから、うれしいツイートをいただきました。

*******
37 分37 分前
@yTNg56 なんかここの所クヨクヨしてばかりいたので、このノルマンディの化石の記事を読んで私も心が少し軽くなりました。ありがとうございます。この不思議な海岸にいつか行ってみたい。。

******

paese さんのコメント...

こんにちは。一夜にして人生観が変わる。そういうことは確かにありますね。人間の歴史にはあまり関心がないのに、自然の歴史は大好きな私にとって、今日のお話はとても興味深かったです。ありがとう。

Chiyo さんのコメント...

paeseさん、コメントありがとうございます。peaseさんは、一夜にして人生観が変わったというご経験があるんですか?!だったら、すごいですね。興味あります。

Chiyo さんのコメント...

ジャスミンティーさん、いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。クヨクヨが少しでも軽くなっていただけて、私もうれしいです。早く、もとの元気をとりもどされますように。

私は、ブログを始めたばかりです。ジャスミンティーさんからのコメントは、第一号。感慨もひとしおです。