2016年1月31日日曜日

キョウギで包む魚を、思い出す


先日、魚を買いそこねました。
大してがっかりはしませんでしたが、
威勢のいい東京の魚屋を、ちょっぴりうらめしく、思い出しました。

その日は、雑用の多い日でした。
ちょうど、お昼の前に市場の中を通ったので、
生きのいいサケの切り身でも買おうかと思いました。

焼いてもいいし、マリネにしてもいいし。
すぐ食べられそうだし。

もちろん、あまり混んでいなければ、です。
見ると、二人しか客がいませんので、大丈夫そうです。

ところが、いざ並んで順番を待っていると。

店主はヒラメをおろしています。
大きな体をした魚屋さんです。
小さく、うすい切り身を、大きな手でさばいています。
端を切り捨てたり、
うら返しにしたり、
と、それはそれは細かく、ていねいな作業です。

もう一人のお客さんは、サバを何本も注文しました。
サバなら、ワタをとるくらいで、早くすむはずです。
じき私の番がくる、と内心よろこんでいると、
そうではありませんでした。
その人は、サバを開いてフィレにしてくれ、と頼みました。

サバのフィレ!
皮もむくんですか。

これじゃぁ、日が暮れちゃいます。
魚だって、生きが悪くなりそうです。
そして、何といっても、なかなか私の番になりません。


というわけで、その日は、
私は、あきらめて帰ることにしました。

でも、心はまだ納得していないようで、
小さい頃の思い出を引っぱり出してきます。

「らっしゃいらっしゃい!」という威勢のいい声。
ギラギラ光る裸電球に照らされた魚たち。
魚一皿いくら。
キョウギをくるりと丸めて、ジョウゴ型にする。
そこに魚を丸ごと流し込む。
テンポよく、買い物かごに入る。

遠い遠い、50年くらい昔の話です。

でも、キョウギ(経木)で魚を包むなんて、
私の記憶違いかもしれません。
少し、自信がないです。


きょうも、読んでくださって、ありがとうございました。


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